小説「のぼうの城」感想 少数で多数を迎え撃つ爽快感とさわやかで心が晴れる読後感がいい!

のぼうの城 上 (小学館文庫)のぼうの城 下 (小学館文庫)
のぼうの城 上
のぼうの城 下

「のぼうの城」

和田竜さんによる日本3大水攻めの「忍城水攻め」の攻防を題材とした「歴史小説」
2003年城戸賞を受賞した脚本作品「忍ぶの城」を 映画化作品前提としたノベライズとして
自ら執筆したもの
映画は「水攻め」のシーンがあり被災地を配慮して2012年秋に公開延期された
あらすじ
 周囲を湖に囲まれ 浮城と呼ばれる「忍城(おしじょう」。その領主・成田一門の「成田長親」は
領民からでくのぼうを略し「のぼう様」と呼ばれ親しまれていた。
豊臣秀吉に「忍城を討ち 武功を立てよ」と命じられた石田三成率いる2万を超える軍勢に囲まれた
忍城。篭城した「忍城」には農民らを含めても2千強 しかも総大将「のぼう様」には「知」も「仁」も「勇」もない「でくのぼう」のような男なのだが…

ソニー電子書籍リーダー「Reader PRS-650-R」で読みました。
  →「Reader」のレビューはこちら
物語は「秀吉」の豪快な水攻めをみた三成の「水攻め」に対する憧れから始まります。
その「三成」が秀吉にあこがれる姿の描き方がユニーク。
この変質的ともいえる「憧れ」描写があるからこそ
「水攻め」にこだわる「三成」の行動がすごくすんなり入っていきます
この小説は戦力的に圧倒的な「三成」軍の「忍城」の篭城戦を描きます。
「忍城」はどうのように三成軍を迎え撃ち 「水攻め」を超え 絶えることが出来たのか? 
いわゆる少数で多数に迎え撃つ話です。
でも主人公ののぼう様こと成田長親はのらりくらりで 家臣 果ては領民たちに心配されるような人物。
まったく「いくさ」向きではないかんじ。憎めなくてなぜかすかれてるそんなキャラ。
そんなのぼう様がとあることで「城主」になり 開城するはずだった「忍城」で戦うことになります。
でものぼう様はほんわか(笑
そんなたよりない城主を支える成田家の家老たちと姫様!
成田家一の家老でのぼう様の幼馴染
武勲の優れたものに授けられる「朱槍(皆朱の槍)」を持ち
「黒塗りの具足」で戦場を駆ける姿から「漆黒の魔人」と恐れられる
「正木丹波守利英」
筋肉巨漢で頭の中は武勲を挙げることのみ。
20歳俊の離れた妻に6人の子供を持つが恐妻家
ことあるごとに「丹波」と張りあう
「柴崎和泉守」
兵法書を読み漁り 戦略知識に自信あり。
自称「毘沙門天」の化身 だけど今回が「初陣」の
「酒巻靱負」
そして「甲斐姫」 この人がもう 言いたいことはっきりいう現代人!(笑
本当にこの時代の人?って思うけど それがいいんだよね
そして こんなに頼れるのになぜか「のぼう様」の惚れてる?
と戦いへの思い考えもみんなバラバラでまとまりがまったくない彼らたち
そして何よりその他の篭城する人たちが「女 子供に おじいさん!」
もうこれ絶対負けるよねっていう状況
しかも攻める「三成さん」 秀吉の真似して水攻めしたくてしょうがないんだし
どうするの「のぼう様」!あんたが戦うのきめたんだよ?
………。
あれ?「のぼう様?」
と肝心の城主がこんな感じなのに
絶体絶命の「忍城」をどう守ったのか?
そして「のぼう様」は?
というようなお話です。
少数で多数を圧倒する姿はべただけどやっぱり気持ちい!
「水攻め」のシーンもスケールが大きくて
こんなの本当にできるの?ッてことを
あの時代でしか出来ない人海戦術作業であっという間に完成させる手際が見事
そして「全体」に流れる「さわやか」なかんじ。
やってることは戦争だけどまるで「スポーツ」のようなさわやかさ
これがいいんです。
心晴れるような楽しくなる小説でした。
ちなみに「歴史」わからなくても大丈夫
本当に丁寧に説明してくれてこれがわかりやすいし
この解説自体が面白いです。
時代小説読みなれてない人でもさくさくと楽しく読めますよ
映画も楽しみです!
100点満点で85点!

コメント

タイトルとURLをコピーしました